無垢板の基礎知識

無垢板(一枚板)とは、大木の幹を1~2mほどの輪切りにし、それを木目に沿って4~5cmにスライスした板材のことです。別の言い方をするとい1本の大木から切り出した板材で、ある程度の大きさ、厚みを持ったものを指し、このHPの看板素材はそのほとんどが無垢板です。

 

それでは無垢板(一枚板)ではない板はどんなものがあるかというと、例えば集成材とか合板(通称ベニヤ板)などです。

集成材とは幅の狭い木材(数㎝幅)を接着させながら継ぎ合わせて一枚の板としたもので、反りや割れなどの狂いが少ない大きな板を作ることができます。合板は薄い板を何枚か重ねて接着剤で貼り合せ、ある程度の厚さにしたものです。

集成材や合板は無垢板の欠点を補い、安価にできるのですが、それでも、無垢板の木目や質感の個性的な美しさ、重厚感を再現することは到底できません。

 

無垢板の各部名称など

○ミミ(耳)

表皮の丸みが残っている部分をミミと称し、無垢板看板の自然なそして個性的な形の基となっています。ミミという呼称は無垢板の両サイドの表皮部分が、人間の顔に例えて耳の位置にあることからきているのでしょうか?

 

○白太(辺材)&赤身(心材)

白太は表皮に近い白っぽい部分を言い、中心部の赤味に比べて柔らかく、狂いが大きいようです。木材内部の色が濃い部分を赤身(心材)と呼び、耐朽性に優れ、家具などでは主にこの部分が使われます。

材・樹種によっては白太と赤身の区別がつきにくいものも多くあります。

○木口(こぐち)

木材の年輪(木目)に垂直方向にカットした部分を木口あるいは木口面と言います。なお、年輪(木目)に平行してカットした部分(ミミを直線カットで取り除いた面)を木端(こば)と言います。

○木表(きおもて)&木裏(きうら)

無垢板には表と裏があり、表皮に近い面を木表、木の中心部に近い面を木裏と言います。ちなみに、上の写真にはありませんが、木の中心部(年輪の中心部)を「髄(樹心)」と言います。

ところで、ミミ付きの一枚板はミミが見える方が木表だとすぐにわかりますが、4辺を木口・木端の直線カットした長方形の一枚板では、表と裏をどうやって見分けるのでしょうか。

それは、小口の木目で判断します。先述(画像下)の小口面の年輪は「髄(樹心)」からの円弧が木表に向って広がっていることから見分けることができます。無垢看板でもテーブルの天板でも木表を表として使うことが特別な場合を除いて常識となっています。

 

○無垢板の木目について

木の看板や天板として使う一枚板の魅力の一つに自然が創り出した木目の美しさがあります。木目には「柾目」「板目」「杢」などがあります。

図は「家具&木工用辞典」より転載させていただきました。

 

「柾目」は「髄(樹心)」を含む板材に現れる年輪が平行な木目を言います。柾目の板材は反りなどの狂いが少ないのですが、髄の部分は割れやすい傾向にあります。

板目はその木目がタケノコ状など不規則な形のものを言います。

また、「杢(もく)」は木目の特殊な紋様で、「玉杢」「鶉杢」「縞杢」など美しい模様の木目が現れることがあります。「一見は百聞に如かず」で、下記の「家具&木工用辞典」で見ることができます。

→ http://www.fuchu.or.jp/~kagu/siryo/moku.htm

 

ハギ(接ぎ)一枚板について

上の画像は1500×約850のクスノキの板材です。幹径が850mmの大木などほとんどなく、実は2枚のクスノキ材を継ぎ合わせて一枚板としたものです。中央部分の直線で接いでいるのですが、写真ではちょっと分かりにくいですね。

3枚ハギも可能で、1m近くの幅広の1枚板は、このハギという手法で作ることができます。

 

「木は暴れる」という話

無垢板はその造形・色合い・質感・木目など素晴らしい自然素材ですが、その扱いが難しいところもあります。

無垢材を扱う仲間内では「木は暴れる」と言って、反り・割れ・ねじれなどが大なり小なり起こります。樹木は元々水分を含んでいますが、伐採後は少しずつ水分が抜けて乾燥していきます。樹種や季節によって異なるのですが、長期間の自然乾燥による木材の平衡含水率はおおむね15%前後と言われています。

 

自然乾燥では少なくとも半年から数年の乾燥期間が必要です。最近では乾燥装置を使って強制的に木材を乾燥させる人工乾燥も用いられるようになってきました。ともかく無垢板の製造工程で乾燥は非常に重要になてきます。

この木材の乾燥過程で、木は収縮し反りや割れが生じます。反りや割れを防ぐには十分に乾燥させた後に加工することが必要ですが、乾燥期間が十分だからと言って安心はできません。木は周りの気象条件などによって水分などの吸収・放出を繰り返しているのです。

 

無垢板の「反り・割れ・ねじれ」などにはいくつかの傾向があります。例えば

○前述した通り、柾目の無垢材は反りなどの狂いは少ないが、髄の部分を含む無垢板   は割れやすい傾向にある。

○木の表皮に近い部分ほど乾燥しやすく、木表側に凹面に反る傾向がある。

○無垢板が薄い(例えば25mm程度以下)と反りやすい。

○無垢板の造形や木目がいびつな形ではねじれなどが起こる傾向にある。

○木口からの割れは加工直後に起こりやすい。

 

自然の創造物である無垢板は人智を超えた魅力のある素材だと思っています。しかし、その特性も人智が及ばないところがあり、看板制作の第1の難しさになっています。経験を重ねながら、無垢板との合作で耐久性・美観を兼ね備えた素晴らしい無垢看板作りを目指していますが、研鑽の日々が続いています。