木の生命力の不思議 その2

木は二度生きる?

生命体としての動植物はその生命を全うすると、朽ちて最終的に土に還るのが普通です。樹木だって、命尽きると、倒木となって、朽ち、土に還るのがほとんどなのですが、朽ちるのを免れ、2度目の人生(木生?)を始めるものもあります。

その一つは、樹木を伐採・加工し、家屋や家具などの素材として再生させて使うことです。木材のこのような使い方は非常に当り前のことですが、よく考えてみると、生命体としての動植物で、このような再活用されるものは他にはあまりないように思うのですが、いかがでしょうか。

 

樹木以外の動植物は命尽きると、体内に保有していた水分が徐々に蒸散し、干からび、あるいは腐り始め、最後には土に還るのでしょうが、この辺りのことは全く知識がありません。

木が素材として活用され、長くその原型をとどめている例として、法隆寺の建材として使われているヒノキが有名です。現存する世界最古の木造建築として、築後1300年を越えた今も、そして不慮の天災や火災に合わなければ、これから更に1000年以上、その美しい姿をとどめているだろうとのことです。

そして、法隆寺のヒノキは樹齢1000年以上の大木が使われているそうで、このヒノキが樹木としてこの世に生命を授かった時からすると・・・

 

木はなぜ腐るのでしょう? あるいは腐らないのでしょう?

木を腐らすのは主に「木材腐朽菌」の働きによります。この木材腐朽菌が木の基質であるリグニンやセルロースを分解し、最終的にはバクテリアが無機化して、木は土に還るのです。

それでは、法隆寺のヒノキはなぜ1000年以上も朽ちずに原形を留めているのでしょう。

 

木材を腐らす木材腐朽菌にはその繁殖条件と言うのがあって、適度の水分、温度、酸素、栄養分が必要なのです。ですので、木材を腐らせないようにするには、木材腐朽菌が繁殖できない条件・環境を作れば良いことになります。

もっとも簡単な方法は、木材の含水率(※)を20%以内に抑えることです。

伐採後の「生材」での含水率は樹種にもよりますが、通常40%以上で、中には100%を超えるものもあります。この「生材」を土に接触させない外気中や室内に放置しておくと、生材内部の水分は徐々に蒸散し、最終的には平衡含水率の12~16%程度に落ち着きます。

この平衡含水率の状態ですと、木材腐朽菌は繁殖することができず、腐るということもなくなります。家屋の外壁材などは時折、雨などにさらされますが、太陽光や外気によってすぐに戻りますので外壁材が腐るというのはほとんどありません。外壁材などが腐るケースは、水が溜まる場所がある、あるいは湿った土に接触している場合などです。

 

木を腐らせない方法として「水分を減らし乾燥させる」と書きましたが、全く逆の方法もあります。

木材の貯蔵場所として、以前は貯水池を使うことも多かったようです。伐採した生木を丸太のまま貯水池に放り込んでおくだけです。一見水中では木は腐りやすいのではと思われますが、実は木材腐朽菌の繁殖には酸素も必要なのです。水中には十分な酸素がなく木材腐朽菌は活動ができないのです。

※含水率については下記のページに詳しく書いています。

⇒ 「木が暴れる」という話

 

流木の話

樹木はその寿命を全うすると倒木となり、菌や微生物の働きによって朽ち果て土に還り、新たな木が成長するための栄養分となるということは最初に書きました。森はその循環によって生態系のみならず、地球環境維持の根幹を担っています。

 

しかしその循環から外れる樹木もあります。

豪雨や土砂崩れなどで、たまたま川に投げ出される樹木もあり、それらは生まれた場所から離れ、水の中で微生物から解放され、朽ちることから免れ、「流木」として水の流れに身を任せ放浪の旅を続けることになるのです。

実は私が最初に木に興味を持ったのがこの流木だったのです。(「流木工房」の名前の由来になっています) 現代では流木はゴミとしてヤッカイ者扱いされていますが、化石燃料や電気が使われる以前の江戸時代の頃までは、海辺の集落などでは大切な燃料源として使われていたようです。

一方、川や海を彷徨って岸に打ち上げられる流木の中には、長い年月と自然の作用によって素晴らしい造形と質感をもった工芸素材として活用できそうなものもたくさんあります。

 

私は流木を使ってランプや花器などのインテリや雑貨や、メニュースタンドなどの店舗用品なども時々作っています。

【流木ランプ】

 

店舗などでは、流木商品だけでなく流木素材を内装の一部に使ったるするところもあります。

まだまだマイナーな素材ですが、少しずつでも興味を持つ人が増えてくれたら良いのにと思っています。

【流木オブジェ 希望】

 

看板素材の無垢材と流木には共通点があります。当り前ですが、どちらも自然が創り出したものであるこ、そして自然が創り出すものに同じものはなく、唯一無二の自然素材は、時としてその素晴らしさに驚嘆させられることがあります。